以下、文字情報です。
劇団ドリームチョップ並びに「プロゲキ!」代表の井口時次郎です。年頭にあたり、みなさまにご挨拶を申し上げます。
2024年元旦に令和6年能登半島地震が発生しました。百名を超える方が命を落とされ今(1月10日現在)も多くの方が避難生活を余儀なくされています。お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被災された方にはお見舞いを申し上げます。
各自治体や警察、自衛隊の方も懸命に救助やライフライン復旧に努力をされています。 一も二もなく頭が下がる思いです。
私はその日和倉温泉に宿泊予定で、宿に着いた瞬間に地震に遭いました。そこから和倉小学校に避難し、一晩だけ避難所で過ごしました。その時のことはいずれ書く機会があるかもしれませんが、この文章はそれが目的ではありません。
1月2日の午後には金沢の自宅に戻り、電気も水も食事も安心して眠れる場所もある中、テレビ等で被害状況を見ていました。実は今でも余震があると心臓を掴まれるように感じますし、今も避難所にいらっしゃる方々のことを思うと申し訳ない気持ちになります。
何かできることはないだろうか?
ささやかな金額の募金だけはとりあえずさせていただきました。しかしそれ以外にはあの避難所の一夜だけを考えても、私にできることなどありません。怖い思いをして金沢に帰ってきたあの道を思うと、もう一度能登に車で向かう勇気はありません。地震の瞬間の自分の無力感を思い出すとボランティアで何か手伝える気すらしません。
それでも何かできることはないだろうか?
被災地にとって水や食料などのライフラインこそが第一なのは当然です。でもそこで自分にできることはほとんどない。だったら不謹慎でも自己満足でも私は芝居をしようと思います。演劇には、LIVEには、ライフラインとは違った力があるはずだと信じて、やれることをやりたいと思います。
おそらく(もちろん「おそらく」)地震や避難所のことをストレートに作品にすることはないと思います。しかし、あの日地震に遭遇し一夜とはいえ避難生活を体験した自分は、それまでの自分とは何かがはっきり違っています。別の楽しい作品を書いていても、演じていても、あの日のことは私の一部となっていくでしょう。そして私はそれを観せられるようになりたいと心から思っています。
昨年末、「プロゲキ!」のキャッチコピーを考えました。
「LIVEでしか伝わらないものがある。」
今、改めてこの言葉を旗印にしたいと思っています。
まだ被害状況も正確にはわからないこの時期にこんなことを書くことが適切なのかはわかりません。コロナ禍の時のように演劇が不要不急のものと言われるかもしれません。でも、それでも私は芝居がやりたい。なぜならLIVEでしか伝わらないものが、必ずあると信じているからです。みなさま、本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。
コメント