6・11「拡大する可能性」
「無人島だと思ったら、仲間がいた。」これはプロレスラー前田日明が藤波辰爾を評して発した言葉だが、プロゲキ!代表である井口の心情もまた同じようなものだったのだろう。今回の公演では4月の旗揚げ公演の際に感じた気負いや硬さが影を潜め、仲間とともに作品を創る楽しさが舞台に満ち溢れていた。
浪漫好の芝居は楽しさにあふれている。気の合う仲間とセリフを交わし、舞台狭しと駆け回る。舞台上で振り回す特製のバズーカ砲は彼らのエネルギーそのものだ。これは著者の妄想であるが、井口は世代的には自分の子どもであってもおかしくない彼らに「憧れ」を抱いているのではないか。。若かりし頃には当たり前に隣にいた仲間が今の自分にはいない、その寂しさがMainEvent「あの角の向こうへ」の演技に滲んでいたように私には見えた。また今公演では開場中に若手演劇人がパフォーマンスを行うFutureStageも行われ、その第一弾として姫川あゆりがトークとダンスを披露した。彼女はプロゲキ!以外にも様々な舞台に上がるということで、今後が楽しみな女優である。
ただ、今後を占うという点ではカーテンコール後の柳原成寿(演劇ユニット浪漫好)の乱入のくだりはやや冗長に感じた。プロレスの要素を取り入れようという試みだろうと思われるが、まだまだ練度が足りないように思う。このあたりは今後の課題であろう。
(継木承一郎)
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