4・11「進化するココロ」
進化、それは生物が環境に適応するために長い時間をかけてさまざまな形態変化をしていくことである。演劇もまた、時代の変化とともに変化していかなければ絶滅を避けられないのかもしれない。
「井口時次郎、入場です。」 アナウンス後、ギターとフルートによるテーマソングが流れ、長いガウンに身を包んだ井口がまるでプロレスラーのように入場してくる。井口の顔がどアップで掲載されたチラシといい、これまで多くの演劇作品が上演されてきた金沢市民芸術村ドラマ工房ではなくDOUBLE金沢という街中のライブハウスで短編を複数上演するスタイルといい、これまで筆者が観てきたドリームチョップの公演とは大きく異なっていた。一本目の「歯医者で私が思うこと」での軽妙なあるあるネタでは初めて演劇を観る人にも楽しんでもらいたいという思いがひしひしと伝わってきた。一方でメインイベント「純愛とキモ愛のはざま」での時に涙を浮かべながら感情あらわに言葉を発していく様は、これまで井口が表現してきた「演劇」そのものだと感じた。
カーテンコールで井口は「プロゲキ!は単なる演劇公演ではなく、この街にライブパフォーマンスが受け入れられるかどうかの社会実験なのだ」と宣言した。筆者はそこに井口の「進化するココロ」を感じた。彼の言う社会実験がどのような結果となるのか、今後も注目していきたい。
(継木承一郎)
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