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2回目となるプロゲキ!富山公演のラインナップを読み、会場となるチャーリーズスタジオの劇場主であり富山公演の主催を務める石川雄士の狙いがおぼろげながら見えてきたように思える。
まずは石川自身がメンバーとなるび~めんぷろじぇくと。しっかり意識された身体とゆるぎない経験に裏打ちされた実力派である。
そして金沢から参加となる風李一成。金沢演劇界のレジェンドが昨年12月に金沢公演に出演した際にも驚かされたが、富山にも現れるとは。圧倒的な技術力と存在感をぜひ富山のお客さんにも観てもらいたい。
楽しみなのは「劇団やてみよ」の代表「略して堀田」である。5月に第1回公演を行ったばかりのフレッシュな団体であり、まさに令和時代の可能性を示している。
最後に「ゆず子と杉ちゃん」。シンガーソングライター2人組によるコラボユニットとチラシには記載されている。当たり前だが音楽である。ここに私はプロゲキ富山の「富山スタイル」を強く感じた。3月の第1回公演でもダンサーである元井康平がキャスティングされていたが、演劇にこだわらずライブパフォーマンスなら何でも来いという強いメッセージを感じた。
そしてそれは決して珍しいことでも特別なことでもないはずだ。舞台の上でライブを行う。生の肉体が躍動するさまが目の前で観られる。劇場とはそうした場所であったはずだ。とすれば、「誕生/再生」が指し示すものとは、劇場なのかもしれない。
(継木承一郎)
富山駅から徒歩5分。若者たちでにぎわう人気の居酒屋「吟チロリ」の億、リラックスした喧騒を聴きながら細い階段を登るとそのスタジオはある。プロゲキ富山の会場、チャーリーズスタジオだ。小さな空間ではあるが、ここからライブパフォーマンスを発信するという意志や熱気が充満しているように感じる。
劇場主である石川雄士にとって、ここは自身の城であり、さまざまな表現が飛び出すおもちゃ箱のようなものなのかもしれない。
「やてみよの堀田君は面白いんですよー!」
「風李さん本当に来てくれるんですかー?」
「び~めんはですねー、ふふふふ。」
今回取材をさせていただいている間中、彼の口からはポジティブな言葉が続いた。楽しそうだ。まさに人生を楽しんでいる。
話を聞くと、若い頃は芸人をめざして大阪で苦労をしたり、大きな病気をしたりと、決して順風満帆とばかりは言えない時期もあったらしい。だからこそ彼の言葉には「ダメ」に対する愛がある。ダメな奴なんていないよ、いや逆にダメな奴ほど面白いんだよ、そんな「ダメ」な奴を観たいんだよといった大きな愛だ。
そんな彼が勧めるプロゲキ富山公演。「誕生/再生」というタイトルにも興味がわく。誕生するのは、再生するのは、はたして誰なのか。答えは劇場にある。
(井口時次郎)
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