【対談】構築せよ!「プロゲキ!ネットワーク」

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※ここからは文字情報です。

本対談は、3月9日にチャーリーズスタジオ(富山市)にて行いました。聞き手は権守あずみです。

権守 お二人とも今日はよろしくお願いします。

石川 おお!権守さんって実在したんだ(笑)

権守 実在ってなんですか!ちゃんといますから。でも写真はNGでお願いします。

井口 そんなこと言ってるから実在しない説とか流れるんだよ。いっそそろそろ顔出しデビューしたら?

権守 もう少しミステリアスな女でいさせてください。というわけで本題ですが。

石川 すごい話の戻し方。

権守 すいません、インタビュアーなんで。(謎のポーズ)

井口 よくわかんないんだけど。まあいいや。ぼちぼちやりましょう。

権守 それでは改めまして。石川さんからお伺いします。3・30プロゲキ!富山公演に向けて、意気込みをお願いします。

石川 「恍惚と不安、ふたつ我にあり。」

権守 え・・・?

井口 来ましたね、前田日明。

石川 さすが。知ってますね。

井口 世代ですから(笑)。

石川 ですねえ(笑)。

権守 ちょっと!オジサン二人でわけわかんない意気投合やめてもらっていいですか?

石川 ははは。ごめんごめん。

権守 なんですか、その、前田日明でしたっけ?

石川 そう。プロレスラーの前田日明が1988年に新生UWFって団体を旗揚げした時にリング上でやったスピーチに出てくるんですよ。「選ばれし者の恍惚と不安。ふたつ我にあり。」ってね。

権守 1988年!?わたし生まれてるわけないじゃないですか!

井口 でもこれ元はヴェルレーヌの言葉で、太宰治なんかも引用してるんだけどね。

権守 え?太宰治が前田日明を引用してるんですか!

井口 違うよ!ヴェルレーヌ。フランスの詩人。学生時代に習わなかった?

権守 いやあ、フランスはちょっと。それで、石川さんの意気込みはその、前田日明ってことでいいですか?

石川 いいですかって詰められると怖いんだけど、新しいことを始めるワクワクと、富山という街でこういうライブが受け入れられるかっていうドキドキの両方があるという点では、まさに「恍惚と不安」だね。

権守 石川さんは金沢でのプロゲキ!は出演者としてだけでなく観客としても何度も足を運ばれてるとのことですけど、何か金沢のプロゲキとの違いみたいなことはありますか?

石川 基本的には同じです。短編を複数本上演するということや、オープニングの入場シーンもやるしね。ただ金沢のと比べると、いわゆる演劇という枠にとらわれないで、ライブパフォ―マンス全般に幅を広げていきたいと思ってます。

権守 どういうことですか?

石川 今回出演してくれる元井康平くんはダンサーっていうか身体表現者って肩書がぴったりで、これまでにも県内外を問わずいろんな場所でパフォーマンスをやってきた人なんです。今回彼がどんなことをやるのかは聞いていないんですが、「好きにやってかまわんよ。シビれさせてくれ!」と伝えてあります。

井口 いいですねえ。金沢の方でも身体表現系の人に出てもらいたいとは思ってるんだけど、まだ実現できてないから、これは先を越された感じだね。

石川 金沢にもいますよね。もちろん。

井口 たとえば舞踏(ぶとう)の方とかね。何回か観たことありますけど、すごいよ。いっそ身体表現系の演者同士で富山金沢の対決とか面白いかもしれませんね。

石川 舞踏?白塗りですか?

井口 まあ、基本的にはね。

石川 それはワクワクしますねえ。

権守 そのほかの出演者の方も紹介していただけますか?

石川 杏亭キリギリスさんは2年前に南砺市のお寺で落語をやってらっしゃるのを観てから注目していたんですけど、昨年秋にうちのスタジオで朝までサシ飲みして意気投合しまして。今回ぜひにとお願いして出てもらうことになりました。現在『種まくキャラバンマーケット』という企画で全国ツアー中です。もともと劇団SCOTで活躍されてて、実力は折り紙付きです。

井口 金沢のプロゲキ!にもぜひあがってほしい人ですよね。

石川 そうなんです。富山、金沢だけじゃなくてもっともっといろんな土地の人に観てもらいたい。その点では「プロゲキ!ネットワーク」は魅力的ですね。

井口 おっと、その辺は後でじっくり話しましょう。今回は石川さんも演者として参加されるんですよね?

権守 あのー聞き手は私なんですけど。

石川 私は「び~めんぷろじぇくと」の一員として舞台に立ちます。び~めんさんは寺山夫妻の演劇ユニットなんですけど、ここ数年は毎回のように呼んでいただいてます。去年は金沢市民芸術村の「百万石演劇大合戦」にも参加しました。独特のアングラ感を楽しんでもらいたいですね。

井口 去年の作品を観てびっくりしました。声量もすごいんですけど、身体の練度というか。あれをチャーリーズスタジオでやったらどんなことになるのかな。客席とはまさに目と鼻の先だから、エネルギーがビシバシ伝わってくるんで圧倒されないように気をつけないといけないですね。

権守 井口さんは演る内容もう決まってるんですか?

井口 なんか言い方にトゲがあるなあ。決まってますよ!・・・多分。

権守 多分?

井口 まだシークレットなんだよ!いろいろ作戦考えてるの!

権守 考えてるんならやっぱりまだ決まってないんじゃないですか。

井口 あ!まあ、構想はあるのよ。

権守 構想は・・・あるんですね・・・。

井口 あと20日だから、ここから急ピッチで仕上げていきますよ。

権守 でも井口さん、4月14日には金沢のプロゲキ!でしょ。今回は3本一人でやるんですよね?

井口 お、おお・・・。

権守 その、準備は・・・?

井口 まあ観ててくださいよ。とりあえずまずは富山でガーンとかまして、その勢いで金沢でドーンとね、やりますよ。やっちゃいますよ!

権守 ふ、不安だ・・・。

井口 ちょっと聞けって。今回、富山でプロゲキ!をやるにあたって、ぜひ言いたいことがあるんだよ。

権守 なんでしょうか?

井口 さっきちょっと話に出かかった「プロゲキ!ネットワーク構想」だよ。去年プロゲキ!を年5本やってみて、これはかなりシステムとして将来性があるなと思ったのよ。基本的には演者はそれぞれが作品を創って持ち寄るスタイルだし、カラーの違う演者たちが一堂に会してパフォーマンスをやるわけだから、観る側もいろんなタイプの上演を観る楽しみがあるでしょ。たとえて言うならステーキじゃなくて焼肉みたいな感じ?食べたことない部位にも挑戦できるし、なにより飽きがこないよね。

権守 焼肉ですか・・・(ウマそう)。

井口 念のため言っとくけど焼肉はたとえだからな。

権守 わかってますよ。

井口 「プロゲキ!ネットワーク構想」は、短編の複数本上演とか、観客投票による勝敗決定とか、あと、入場シーンの導入といったプロゲキ!のシステムを使って、いろいろな地域でプロゲキ!公演を行っていくっていうこと。

去年、金沢公演に石川さんに出てもらったり、今回私が富山公演に出演したりするんだけど、それを全国的に展開していきたいわけ。

石川 いわゆる「まだ見ぬ強豪」システムですね。

井口 そうそう。どこの地域にもすぐれた演者はいるんだけど、東京に出てメディアに取り上げられない限り、その地域以外の人にはほとんど知られることはない。それをプロゲキ!ネットワークとしていろんな地域を結ぶことによって、「まだ見ぬ強豪」として紹介していくことができる。

権守 なるほど。たとえば富山の公演に愛知の俳優が出演したり、金沢の舞台に福岡のダンサーがあがったりってことですね。

井口 そうそう。そもそも地域の劇団にとって、県外公演はリスクが大きいからなかなかできないんだよね。自分たちのことを知らないわけだからチケットも売れないし。でもプロゲキ!なら、メインは地元の人たちがやるからチケットはその人たちが主に販売するわけ。だからノーリスクで県外公演が可能になる。

石川 まあ、アウェイだから観客投票になると不利ですけどね。

井口 それはしかたないですけど、それでもいわゆる目利きの観客っていうのはどこの街にもいるから、しっかりした上演さえできれば、後々自分たちの劇団として単独公演もできるかもしれない。

石川 この年になると自分のことよりむしろ人を紹介したくなるんですよ。今回の富山のラインナップは私としてはどこに出しても恥ずかしくないメンバーだと思ってます。プロゲキ!ネットワークに乗って富山のプレイヤーが日本各地の舞台に上がるのを想像するとワクワクしますね。

井口 私はまだプレイヤーとしての野心も枯れてないですよ。観客投票による対決をやってるわけですから、その結果としてベルトというかチャンピオン認定も考えてます。プロレスで言えばIWGPです。富山王者と金沢王者、その他の地域のチャンピオンたちが集まって、タイトルマッチをやるんです。当然、私はタイトル狙っていきたいです。鈴木みのるじゃないですけど、「そのベルトは予約済みだ」ってことですよ。

石川 おおー、夢ありますねえ。

井口 今回の富山公演は壮大なるプロゲキ!ネットワーク構想の第一歩なんです。

石川 いい舞台創りましょう!

井口 もちろん!

権守 あのー。私もいるんですけど?

石川 あ。

井口 ごめんごめん。

権守 でもおふたり仲いいですよね。知り合ったのは去年なんでしょ?

石川 そうです。実はきっかけは2022年に芸術村で『便所くん』という舞台に井口さんが出演されてるのを観たのが最初なんです。

井口 え?『便所くん』観たんですか?

石川 はい、観ました。

井口 若い女の子に井口が尻蹴られる芝居ですね。

石川 上演前に「地方で演劇をやるとは」っていうシンポジウムもやってて、そこで井口さんがしゃべってて、そのあとすぐ上演があって・・・まあ、確かにお尻蹴られてましたね。

井口 もう、観客の目の前で。ガンガン蹴られて。でもあの臨場感が演劇の醍醐味じゃないかな。それ絶対にプロゲキ!にも生かされてると思います。あの演出家もプロゲキ!に呼べたらいいかもしれませんね。

石川 プロゲキ!愛知もあり得ますね。

井口 目指すは前田日明の「ファイティング・ネットワークRINGS」です!

権守 出た、前田日明!今日帰ったらググってみます。

井口・石川 (前田コール)まーえーだ!まーえーだ!

権守 (無視して)今日はありがとうございました。

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